ワールドカップには各国コーチ、審判として元五輪選手も参加しており、今回はその中でも、日本以外で多くの懐かしい顔ぶれが見られた中国元五輪代表である范斌さん(96年アトランタ五輪団体銀メダル、鉄棒銅メダル、今はカナダのコーチ)、鄒凱さん(2008年北京五輪団体、ゆか、鉄棒金メダル、2012年ロンドン五輪団体、ゆか金メダル、鉄棒銅メダル、今回は中立審判として参加)にインタビューをしました。通訳は92年バルセロナ五輪で団体4位のメンバーであった和雪梅さん(現姓:高堰)です。
Q. 引退後はどのようなことをされてきましたか?
鄒凱:引退後、一時期は体操界を離れていましたが、今は審判しながら若い選手を育てています。
范斌:私は引退してからかなり経ちますが、カナダに渡って15年間体操を教えています。(カナダには)引退後、友達の紹介で行きました。
Q. もし、今の時代に選手であったら、どのような位置にいると思いますか?
鄒凱:私はスペシャリストなので、今大会のような個人総合の試合は難しかったと思います。そういえば、この体育館に来たら現役のときを思い出します。2011年の世界選手権もこの体育館で行われましたし、先輩たちも80年代にここで試合をしたということなので、とても思い出深い体育館です。
范斌:自分の場合は引退してかなり経ちますし・・・当時の中国は強かったものの、今は今ということで、それについては何とも言えませんね。ちなみに、私は日本に来たのは95年の世界選手権(鯖江)が最後でした。
Q. 五輪の団体戦が5名から4名になり、団体戦ではオールラウンダーとしての力が重要になっています。スペシャリストとオールラウンダーの組み合わせについてどのように考えてますか?
鄒凱:今の試合方式では団体に必要な選手はオールラウンダー2名、スペシャリスト2名の組み合わせがベストではないかと思います。
范斌:確かに鄒さんの言う通りですが、国によって事情は異なるので、団体中心に考える国は雛さんの言う通りで、団体が強くない国は種目別狙いで来ると思います。
Q. 中国は4年前と比べて代表の選考方法が異なっていますか?
鄒凱:今はナショナルチームを離れて、地方の担当をしているので具体的なことはわからないです。
Q. カナダはリオ五輪の団体出場を逃しましたが、戦略の変更などはありますか?
范斌:できれば団体で出場したいと願っていますが、今の状態では難しいと考えています。ルールの点でも難しいです。また、選手育成においても、子供たち世代も変わってきて選手を長く続けてくれるのが難しくなっているので、強い選手が不足しています。その点で前回団体出場した2008年よりは厳しい状態です。レベルが少し落ちた感じです。
Q. 現在の採点規則についてご意見をお聞かせください。
范斌:今のルールはトップの選手しか向いてないルールで、トップの選手にはいいかもしれないけど、他の選手にとってはずっとこのような場所に立てないままになるので、FIGもその点はもう少し考える必要があるのではないでしょうか。
Q. 東京五輪はどのような大会になってほしいですか?
鄒凱:日本と中国は男子体操で長年ずっといい勝負をしてきたので、中国チームとしては東京五輪でも素晴らしい勝負を皆さんに見せたいです。
范斌:カナダにとっては頑張って出場権を獲得して、日本に来るだけです。
Q. 日本の体操についてどのような印象をお持ちですか?
鄒凱:日本チームはとても美しい演技をするので、今大会も楽しみにしています。
范斌:日本は美しい体操をして、技も高いレベルと感じています。中国ももちろん同じです。日本と中国には強いチーム同士の争いを見せてほしいと期待していますし、カナダはこの両国からたくさんのことを学び取ってほしいと思います。
Q. 年齢は離れていますが、お二人はお互いのことをよく知ってましたか?
范斌:テレビでよく見てました(笑)
鄒凱:先輩ですし、中国のナショナル体育館で中国の歴代世界チャンピオンの画像を飾っているので、范斌さんの存在もとても刺激になっていました。
Q. ちなみに高堰さんのことは?
范斌:同じ時代の選手で、92年から95年まで一緒に練習していたのでよく知っています(笑)
鄒凱:(和さんに向かって)2006年の大会に一緒に出ましたよね?インドで行われた大会で・・・(和さんはインドで行われた2006年アジア選手権では日本代表で出場。しかし、鄒さんのことは覚えていなかったようでとても驚いていました)
最後は思わぬところで接点があったことが分かった三名の方々でした。ご協力ありがとうございました!